「ベルリンどう?」

2015年10月末のことでした。
当時、オフショア開発グループで開発のディレクションを担当していた時に、マネージャーから言われた言葉です。
こちらの記事にもあるように、リクルートでは大規模開発のコスト削減のため、ベトナムでのオフショア開発のプロジェクトを担当していました。

大規模ウォーターフォール開発の上流から下流まで一貫して取り組むため、非常にチャレンジングな環境でした。
しかし、個人的には、もっと実装の経験を積みたいと思っており、その旨をマネージャーに伝えた後の出来事でした。

当時、このBTP(Berlin-Tokyo Project)の存在は知っていましたが、まさか自分にその機会がやってくるとは思っていませんでした。
興味はあるものの、「開発(特に実装)経験の乏しい自分が、スタートアップの中で、しかも英語という環境でやっていけるのか」と不安でしかありませんでした。
チャレンジするかどうか悩んでいた時に、別のマネージャーからいただいたアドバイスは、

いいじゃん。失敗しても死なないんだから。

という一言でした。文章にしてしまうと、どこかで見たことがあるようなありきたりなフレーズですが、当事者としてこの言葉を聞くと、非常に納得感のある言葉でした。

「そうだ、チャレンジしてみて、ダメだったらそれはそれで仕方ない。そうだ、チャレンジしてみて、ダメだったらそれはそれで仕方ない。
と、ベルリンへの道にチャレンジすることを決意しました。

そして、ここから、複数回の面談(ATLのGMや弊社CTO)を経て、実際にスタートアップとの面談をするために、2週間の短期出張としてベルリンを訪れました。

面談

上司との面談で聞かれたことは、オフショア開発での経験や、自分のスキルセットはもちろんですが、

一番は「覚悟があるのか」という点でした。

オフショア開発の時に、ベトナムに数ヶ月滞在していましたが、同じグループの日本人メンバーも何名か滞在しており、コミュニケーションでは専任の通訳の人に翻訳をお願いしていたので、生活や仕事面でさほど困ることはありませんでした。
しかし、今回のBTPでのプロジェクトでは、ベルリンに行くのは私一人です。言語も英語です。さらには基本的には最低半年程度の期間を想定しているので、ほぼサバイバルのような環境です。

そのような環境で本当にやり抜くことができるのか、その意思があるのか。ということです。

短期出張

複数回の面談を経て、次はいよいよコラボレート先のスタートアップを探す段階です。
リクルートからベルリンのスタートアップに対して、コラボのオファーをする形なので、先方とプロジェクトの内容やゴールを検討し、双方にとってメリットのある取り組みとして合意ができない限り、ベルリンには行けません。

スタートアップへのオファーに関しては、まずはリストアップから。
20社ほどリストアップし、私と現地に駐在しているシニアアーキテクトの先輩と、リクルートとの親和性や面白さなど複数の項目から点数付けを行い優先度をつけていきました。
そして上位5社にアポイントをとり、実際にベルリンに行きました。これが2015年の12月です。

5社訪問し、一番面白そうだと感じたところに再度アポをとり、技術面接を行いました。

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(面接からの帰り道)

そして帰国

もっとも、希望したスタートアップとはスキルセットが合わなかったことや、採用を増しているフェーズだったため受け入れ体制を整えることが出来ない、などの理由で、マッチングには至りませんでした。(しかしながら、そのうちの一社とはブロックチェーンの技術検証としてコラボできたので会社としては一つの成果につながりました。)

スタートアップとの交渉の日々が続いていると、日本でも「あれ、まだ日本にいるの?」と声をかけられることも次第に増えてきてしまい、ちょっとつらかったです。

そんな時に、現在コラボしているHigh Mobilityから、新しくプロジェクトをすることになり、フロントエンドの経験がある人が必要になった時に、私のことを思い出していただいたこともあり、無事にマッチングとなりました。
(面談をした時は、コネクテッド・カーのスタートアップということで、どちらかというとハードウェアの開発を中心とし、webの要素が少ないという印象だったので、こちらからのオファーには至っていませんでした。)

無事に決まる

HighMobilityとのプロジェクトは、WebBluetoothAPIを利用したオープンソースの開発、というざっくりとした内容は決まりつつありました。しかしながら、自分自身にエンジニアとしての強みや、フロントエンドの開発経験が多いわけでもなかったため、準備期間を2ヶ月おき、ベルリンに行ってすぐにバリューを出せるように、計画を調整しました。

スタートアップでは、一人一人のチームメンバーが専門性や役割を持って仕事をしていることが多いです。つまり、ベルリンでバリューを出せる、すなわち、このプロジェクトにおいて、他のメンバーより自分自身の方が経験・知識のある領域がある、ということです。
そのため、準備フェーズとして、Javascript と WebBluetoothAPI の組み合わせにおいては自分が一番できる、という状態にするのが目標にしました。

実際に取り組んだこととしては、WebBluetoothAPI公式ドキュメントを全て読み込み、仕様を理解するために、サンプルのアプリケーションを作成しました。また、フロントエンドの開発環境の効率化や、Nightwatch.jsを利用したE2Eテストの作成による、品質担保の仕組み化にも取り組みました。

その結果、GoogleChromeのリポジトリにコントリビュートすることもでき、準備を着実に進めることが出来ました。

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(実際に作成したサンプルのアプリケーション)

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(はじめてのプルリクがマージされました)

いざベルリン

そして今年の3月にベルリンへ。
まずはCTOとプロジェクトの方向性の認識すり合わせ。

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そして開発を開始して、今に至ります。

ベルリンでのプロジェクト開始まで長い道のりでしたが、ようやくスタートを切ることができました。
しかし、あくまでスタートが出来ただけなので、まだまだこれから頑張ります。

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