客員研究員のテライです。近未来レストランイベントで「お客さんが手を挙げるとkinectで検出して、天井に店員が登場する」という展示を開発し、展示いたしました。

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最終的には上のイメージ並びにこちらの週刊アスキーの記事等でも紹介されているように、お客さんがみんなで天に向かって手を上げるとだんだんと空を雲が覆い、雲間から女神(店員)が現れて注文ができるという仕立ての展示となりました。

本エントリでは、このkinect企画のまとめとして、発案から開発、反省点などをご紹介しようと思います。

企画内容について

最初に、kinectを使って手を上げるだけで店員を呼ぶことができるものを作れないかというお題目がありました。

最初にお店を下見すると、周りをガラスに囲まれた個室がありましたので、ガラス壁面にポリッドスクリーン(透明な塩化ポリシート)を貼って、透明な場所にプロジェクション映像が映るという近未来SFっぽい演出をしようと思いました。そこで自宅にてポリッドスクリーンやアミッドスクリーン(網戸にプロジェクション)をテストしました。暗い場所では見えるのですが、明るい場所だとプロジェクション映像が見づらく、イベント会場は明るいことが予想されるため、ガラス面投影の案は見送りました。

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※左が塩化ポリシート、右が網戸にプロジェクションしたもの。明るい場所ではどちらも視認性は下がる。やや網戸の方が見やすいが、「何もない場所に映像が登場する」感が薄れてしまうので見送り。どちらのシートも、暗い場所であれば見る人に驚きを与えられるぐらいくっきり映るのだけど、、。

後日、2度目の会場下見の際に、天井に投影できそうでしたので、手を上げると天井に店員やメニューが映る案で進めようと思いました。
ただし、天井に投影するのはこちらの都合ですので、お客さんにしてみれば首が疲れるのに天井を見上げる道理はありません。上を見上げるための納得できる理由が必要ですので、それを満たせるようなコンテンツの仕立てを考えました。

  • 手を挙げる
  • 天井(天)を見上げる
  • 注文(お願い)をする

という要素から、天に向かって雨乞いのような祈りのポーズをすると、雲間から神様(店員)が登場し、お願い(注文)ができる仕立てを思いつきました。文字通りの”神”店員が神対応をしてくれるというストーリーとして、お客さんも腑に落ちやすいのではと思いました。

→ 「あの店の店員、マジで神店員やで」というふうに、あとで人に教えるための会話ネタになる

また、場所はお客さん2名以上からという感じの広めの個室でしたので、誰かひとりが手を挙げればOKというのではなく、みんなで手を上げないと女神が登場しない仕立てにしました。みんなで呼ぶというのは大事で、恥ずかしさを感じることなく、逆にみんなでそういうポーズをした一体感が思い出に残りやすく、その体験は口コミにつながっていくのを狙いました。

→「注文したいからお前も手挙げろよ〜」というふうに、その場の会話ネタになる

というように、とにかくお客さんが会話のネタにしやすいようにコンテンツの仕立てを「詩的」であったり「ユーモア」を盛り込んだりすることを念頭に開発しました。

また、開発中、天井に大うつしで、ボサーっとした自分の顔が何度も表示されて鬱屈した気分になりましたので、イベント当日は女神が登場するように、奇麗な女性店員役を配置していただきました。そのためお客さんの目に優しかったかと思います。

実装について

このブログでの私の過去記事にあるように、openFramewroksで開発しました。kinectとの連携もしやすく、プロジェクション用の機能も豊富だったので、必要な機能を手早く実装することができたように思います。このあたりは過去記事をご覧いただければ幸いです。

音声のやり取りについては、Sony製のワイヤレスマイクをスピーカー接続してトランシーバーのように使うことで、お客さんと店員が会話ができるようにしています。

反省点

予定ではkinectは座席奥側に置くことで、丁度お祈りするような手の挙げ方で反応するようにしていたのですが、奥側に置いてしまうと通行客の手も認識してしまうことがイベント直前に分かり、急遽kinectの置き場所を手前に変更しました。そのため機材が手前にドドーンと置かれてしまい不格好になってしまいました。本来であれば実装処理の中でkinectが検知する距離を制限してやれば、もっと美しくレイアウトできたかと思います。

最後に

一般論として、ユーザーアクションに対するレスポンスが遅い・はっきりしないというのは、ユーザーにはストレスです。
一方kinectによる手の検出ですが、マウス操作やキー入力とは違って検出精度には揺らぎがどうしてもありまして、(実際の検出画面を表示したり改善方法はあるものの、)ユーザーが「あれっ?」と感じるケースが発生します。
※自分も経験がありますが、インスタレーション展示で周囲に人がいるのに「あれっ?」っていう状況になるのは恥ずかしいものです。
その「あれっ?」を和らげるためには、前述のとおり「詩的・ユーモア」を盛り込んだり、みんなでやれば怖くない仕立てにしたりすればいいのかなと感じました。

手を挙げてるのになかなか雲が動かない→「あれっ?」→”神への祈りが足りません”→手をより高く挙げたり動かしたりする→認識される

という風に、技術仕様とストーリー(≒いいわけ)をうまくミックスさせるのが、インスタレーションでユーザーにとっつきやすく感じてもらうためには大事ではないかという考えに至りました。

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