こんにちは。アドバンスドテクノロジーラボの伊豆原です。

先日お届けした第1回に引き続き、第2回は、Web SummitのメインコンテンツであるCenter Stageでの講演内容をお伝えしたいと思います。

(街中至る所にWebSummitのモニュメントがある)

これらの講演においては、いくつか人々の話題に登っていたことがあります。

まず一つ目は、前夜祭に開かれたNight Summitにて、あのエドワード・スノーデン氏が、ロシアからTV会議で参加して語ってくれたということです。
何と開演1時間半前にはホールが一杯になり、周辺は会場に入れない人で溢れました。

スノーデン氏の参加は、現地のTVニュースでも報道され、見た限り現地メディアの全てで扱われたのではないかと思います。
さて、スノーデン氏はここで何を語ったのでしょうか。

最初の問いかけは、
What do you do when the most powerful institutions in society have become the least accountable to society?
(社会で最も強力な機関が、社会に対して責任を負わなくなったとき、あなたはどうしますか?)

でした。

その中で
We have entrenched a system that makes the population vulnerable for the benefit of the privileged.
These people are engaged in abuse particularly when you look at Google and amazon or facebook.

という言葉があったのですが、Google,Amazon,Facebook といった企業もまた、abuse(乱用、虐待)であるとしています。
かなり厳しいトーンでの発言でした。

会場での実際の発言は、以下の映像に収められています。(英語です)
https://www.youtube.com/watch?v=X4_7A-SGLo8&t=473s

次に話題になっていたのは、「地球環境への配慮」ということでしょう。

このカンファレンスの主旨は、スートアップベンチャーに対する発表会、或いは支援ということになりますが、Center Stage で講演する多くの人達が、将来に対する展望と同時に地球環境への取り組みを説明していました。

初日のオープニングのステージでも下の画像のような演出がなされ、年々厳しくなる地球環境に触れてeco system への取り組みを促していました。


(ライティングを緑にして、鯨などの自然の映像を流している)

そんなcenter Stageでの講演から、いくつかのトピックをお伝えします。以下に、各講演の内容を抜粋し記載します。
(英語からの訳なので、不自然な部分があることを、ご了承下さい)

■Amazon
タイトル: “Amazon.ai

Amazonはこの数十年間多くの開発をしてきたことにより、機械学習の会社になった。
Amazonでは、あらゆる隠れたところで、機械学習を活用している。レコメンドや検索エンジンは、皆さんにもお分かりのように、裏に多くの機械学習が使われている。

例えば、
・荷物を時間内に届けること
・物基準の需要予測(ex.季節商品、売れ筋、たまにしか売れないが必要なもの) 
・エリア基準の需要予測(ex.国ごと、地域ごと)
・物流センターの最適配置(ex.時間内に届けるためにはどうセンターを置くか、どこから出荷するのが適正か)
これは全て機械学習に基づいている。

予測は、日常品や、季節商品の需給であれば誰でも分かる。
難しいのは、地域間があったり、特殊なものだったり、新製品など。これらの需要は、簡単にはわからない。特殊な季節商品も同様で、ハロウィンにどんな衣装が売れるかなんてわからない。例えば、ニコラスケイジのリバーシブルの枕カバーなどが売れていたりする。

Amazonプライムは非常にお客さんに喜ばれているが、そこでは、配送を更にスピードアップできるのかといった課題も発生している。いま実験しているのはドローンシステムで、15ポンド以下の商品を30分以内で配送する。
それらは複数の様々なセンサーを使い、安全に配送を行う。降下するときには、下に何があるのか、安全なのかを検知する。例えばワイヤーなどは人間の目でもわかりづらいが、それらを検出する仕組みを作っていたりもする。とにかく安全性が重要となるわけだが、ここでもAIが検出と判定を行っている。

ゴーストストア(無人店舗)も作っている。お客さんが何人かいる中で、それぞれがどう動いて何をしているのかを把握するシステムは、全てAIがベースになっている。
Alexaもベースは機械学習。今では、様々なタスクがこなせるようになり、何百ものデバイスに埋め込まれるようになってきた。
ハードウェアも作っている。大学も作っている。machine language university

■Facebook
タイトル: “Building Calibra and increasing access to the global economy

現在インターネットでは、あらゆる種類の便利なサービスに、ほとんど無料でアクセスできる。しかし、お金を貯めたり、送ったり、使ったりすることになると、それほど簡単ではない。 世界中の何十億人もの人々が、基本的な金融サービスさえも利用できないままである。
これは、我々がブロックチェーンテクノロジーを活用した新しいグローバル決済システムである、Libraのデジタルウォレット(Calibra)で対処したいと考えている課題だ。

libraとCalibraの違い、また何故それらを作ろうと思ったのかについて説明する。
Calibraというのは、誰もが場に加われるデジタルウォレットのシステムである。CalibraにはFacebookの子会社も参加するが、あくまで多くの参加企業の一つでしかなく、権利も機能も同等。
Calibraにおいて構想しているのはeメールのようなもので、一定の手続きは決まっているがそれ以外は自由度が高く、誰でも参加でき、これまでのような中間業者を取り除くことができるようになっている。金融機関も、これを使うことで自分たちのシステムを改善することができる。

(米国議会での話を受けた「今のタイミングではまだ早すぎたのでは?」という質問に対し)
批判は折り込み済みで、それは仕方がない。これまでに実現したことがないものに対しては、必ず批判的な意見が起こる。しかし、calibraについては既に22社が参加してくれているし、Facebookにとっては全世界に対してコミットした事項だと考えており、今後も進めて行くことに変わりはない。

■Microsoft
タイトル: “The promise and peril of the digital age

これからの10年について話をしたいと思う。
テクノロジーはどこに行くのか?
今日、コンピューターへのアクセスの性質が変わっている。クラウドコンピューティングが起こり、全世界に広がった。その為、2010年に比べ、今やデータへのアクセス数は約25倍になっている。
その中では、AIの役割が欠かせない。AIが未来を大きく発展させる。しかし、AIというツールが強ければ強いほど、それは同時に武器にもなっていく。その武器は、暗号を解読したり、クラッキングを行ったり、安全保障上の問題にも影響を与える。

2050年に向かって、AIが世界を変えていくと考えられている。
ある映画の中では、AIが物事を決定して行くという未来が描かれている。人間が判断するのではなく、AIが判断をして導いていく。これは非常に危険だ。
コンピューターは何ができるかではなく、何をすべきか。この問題に対してアプローチを間違うと、将来大きなコストを支払うことになる。これからの開発は、倫理的な観点で開発をしていかなければならない。

わくわくする機能を議論するのではなく、立ち止まって、市民にとってそれが役立っているかを考えるべきだ。

■UBER
タイトル: “Uber’s road ahead

今日からリスボンで、スクーターのレンタルサービスを開始した。
リスボンでは、人々は1年に自転車やスクーターで1400万キロメートルを移動しており、それに対し我々は適切なサービスを提供したいと考えている。
uberが考えるサービスというのは、地図をクリックするだけで、そこにある交通手段を適切に提供できるようにすること。いわば、全ての交通手段を一つにまとめたサービスとなること。クリックすると他のアプリと連動してサービスが提供できるようになったりすることである。

他の競合アプリを使っているユーザーも、Uberのアプリをインストールして利用している。アプリはそれぞれの目的に合わせて作られているが、利用者は他のアプリも使うことで、よりその場に合った適切なアプリの利用が進み、Uberも使われることになる。競合アプリはただの競合ではなく、互助される存在なのである。

Uberが実施しているファイナンシャルサービスについてだが、実は契約したドライバーの多くが、契約時点で銀行口座を持っていなかった。そこで、UberMoneyを作った。口座を持っていなくても金銭の受領ができ、いつでもそれを通貨として利用ができるようにする。元々の目的は、ドライバーのメリットを思ってのことだった。そしてこのUberMoneyは、現在Uberのプラットフォームで展開している。これは一つの大きな取り組みに繋がってきている。

我々の考えているビジネスは、ユーザーが長期的に使ってくれることを前提に考えている。コアビジネスは持っているべきだが、そちらへの投資は2022年までの計画が終わっている。そして、長期にユーザーを確保していくためのことに精力を注いでいる。例えばナイジェリアでは、政府と協力してUberボートをローンチした。2023年には、空飛ぶクルマの実験開業を考えている。

■Verizon
タイトル: “Are you ready for 5G?

多くの宣伝にも関わらず、多くの企業や消費者は、5Gがどれほど革新的であるかについてまだ理解ができていない。 5Gが今後何年もの間にわたり、企業や消費者、社会に新しい可能性をもたらす方法の全体像をご覧いただきたい。この第四次産業革命は、素晴らしい機会となるだろう。

(※以下、私見となります)
といった前振りでしたが、講演の前半は機能的な話がほとんど、後半はコストの話でした。機能部分の内容については、すでに知られている5Gの提供サービスとほとんど変わりませんでした。
後半に訴えていたことで印象的なのは、環境問題に対する視点でした。エネルギー消費量を削減したりインフラ開発投資を抑えたりすることで、自然に優しい形で世界に展開することができるといった主旨でした。

■WikiPedia
タイトル: “The future we build needs to be open

今、我々の世界には、知識の危険があるのではないか。毎日毎日フェイクニュースが流れる中、どうやって真実を求めればいいのだろうか。
私たちは、知識に対する要求が非常に強い。毎日、何千、何万といった人達がWikiPediaを使っている。
例えば我々は、財布に入っているお金を信用している。我々が色々なことを信用しているからこそ、世界が動いてゆく。信用が無ければ、システムは使われないだろう。
しかし私たちは、信用の危機にあると考えている。今この世の中では、見分けがつかない情報が発信され、民主主義の信用が傷つき、報道の自由が傷ついている。
信用が壊れてきているという危機、これは私たちにとって重要な問題だ。信用が無ければ、先に進むことができない。信用の危機は、世界を分割しつつあり、我々は今バラバラになってきている。これは非常に残念なことだ。

WikiPediaを作った時にはここまでくるとは思ってもみなかったが、危機というものは、歴史が証明している通り機会にもなり得る。人間は、危機を乗り越えて発展してきた。
甘いことに聞こえるかもしれないが、文化と文化が出会ったとき、たとえ言葉や歴史が違っても、人はその人間性を共有して互いを認め合い、理解することにより発展を遂げてきた。それらは、情報や知識がオープンになることによって実現されてきた。
知識というのは、人間性の証明である。
我々は、人間同士の信用を打ち立てるプラットフォームとして進化してきた。信用の危機に対しても、何とか食い止めようとして抗ってきた。
皆が協力して、知識を書き込んでくれる。これは本当に素晴らしいことだと思う。ここにコネクションを広げることによって、もっと素晴らしいことができるようになる。

WikiPediaは、空のページを立てて、新しいことを始めることができる。WikiPediaは、ただの百科事典ではない。人々を繋げ、大きな変化を作ることができる場所だ。個人から始まり、何百、何千人もの人に協力を得ることができる。
みなさん、お互いを信じて下さい。

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いかがだったでしょうか。

Center Stageではこの他にも、Boston DynamicsやGoogleといった有名どころの講演や、一見テクノロジーとは関係ないのでは?と思えるような講演(例:“One year out:Will Trump be re-elected?”)などもありましたが、どの回も盛況で、興味深いコンテンツばかりでした。

次回でこの連載も、最終回です。次は、展示会場編をレポートしていきたいと思います。